平成29年度農作物病害虫発生予察情報
発生予報 第7号
発表日:平成29年11月9日 岩手県病害虫防除所
Ⅰ 情報の要点 1 麦
◎雪腐病はやや少ない予報ですが、例年発生する圃場や県北部、高標高地帯などの根雪期間が長い地 域では、雪腐病の種類に応じた防除を必ず実施しましょう。
2 りんご
◎腐らん病は並の予報ですが、多発園では、落葉期に特別散布を実施しましょう。
◎野ネズミは並の予報ですが、積雪前にできるだけ園内を清耕、清掃し、野ネズミが生息しにくい環境 にしましょう。
◎今年ナミハダニの発生が多かった園地では、粗皮削りを丁寧に行うとともに、マイカ線の下も確認し、 集団越冬が確認された場合はマイカ線を交換しましょう。
Ⅱ 農薬の安全・適正使用
1 農薬の使用にあたっては、他作物や周辺環境に影響が及ばないように十分配慮し、対策を講じましょ う。
Ⅲ 寒候期予報(12 月~2月、仙台管区気象台、9月 25 日発表)
冬型の気圧配置は弱く、北からの寒気の影響は小さいでしょう。このため、冬の気温は平年並か高く、冬の降 水量は平年並か多い見込みです。
図は仙台管区気象台ウェブサイト(http://www.jma-net.go.jp/sendai/)より引用
【利用上の注意】
本資料に掲載した農薬は、平成 29 年 10 月 31 日現在の農薬登録情報に基づいて作成しています。
・農薬は、使用前に必ずラベルを確認し、使用者が責任を持って使用しましょう。
・農薬使用の際には、(1)使用基準の遵守(2)飛散防止(3)防除実績の記帳 を徹底しましょう。
【情報のお問い合わせは病害虫防除所まで】 TEL 0197(68)4427 FAX 0197(68)4316
☆この情報は、いわてアグリベンチャーネットでもご覧いただけます。 アドレス http://i-agri.net/Index
Ⅳ 3か月予報(11 月~1月、仙台管区気象台、10 月 25 日発表)
向こう3か月の出現の可能性が最も大きい天候と、特徴のある気温、降水量等の確率は以下のとおりです。
11月 東北太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。
12月 低気圧の影響を受けやすいでしょう。東北太平洋側では、平年に比べ晴れの日が少ない見込みです。 1月 低気圧の影響を受けやすいでしょう。東北太平洋側では、平年に比べ晴れの日が少ない見込みです。
図は仙台管区気象台ウェブサイト(http://www.jma-net.go.jp/sendai/)より引用
麦病害
1 予報の内容
病害虫名
発生 時期
発生量
・ 感染量
予 報 の 根 拠
雪腐病 - やや少 (1)今年春の発生量は、平年よりやや少なかった。(-)
(2)寒候期予報では、冬期間(12~2月)の気温は、平年並か高く、降 水量は、平年並か多い予報。(±)
記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因
2 防除のポイント
【雪腐病】
(1)例年発生する圃場や県北部、高標高地帯などの根雪期間が長い 地域では、雪腐病の種類に応じた防除を必ず実施する。
なお、小麦品種の耐雪性は表1のとおりであり、特に「銀河のち から」は、耐雪性が「やや弱」で被害が出やすいので、防除に努め る。
(2)雪腐病は病原菌が数種あり、発生する種類により防除薬剤が異なるので、表2を参考に薬剤を選択する。 雪腐小粒菌核病(黒色、褐色)と紅色雪腐病が混発する圃場では、同時防除が必要となる。なお、ベフラ ン液剤 25 で種子消毒した場合は、紅色雪腐病を対象とした根雪前の茎葉散布を省略できる。
(3)防除時期は根雪間近(表3参照)とし、タイミングを失しないようにする。なお、フロンサイドSCは残 効が長いため、根雪開始の1ヶ月程度前に散布しても防除効果が得られる。
(4)薬剤散布後の気象状況によっては、再散布が必要な場合があるので、表2を参考に対応する。
(5)融雪期が遅れると多発するので、春先の消雪促進に努め、圃場の排水を良くする。
表1 小麦品種の耐雪性
品種 耐雪性
ナンブコムギ 強
ネバリゴシ やや強
ゆきちから 強
銀河のちから やや弱
コユキコムギ 中
表2 雪腐病の防除薬剤(小麦)
農薬名(商品名)
紅色雪腐 病
雪腐小粒 菌核病
使用時期 再散布が必要なケース
フロンサイドSC ◎ ○
薬剤散布~根雪開始の期間に積算降水量 120mm以上または日最大降水量65mm程度 の降雨があった場合
トップジンM水和剤 ○ ○
ベフラン液剤25 ◎
バシタック水和剤75 ※ ○
キノンドー水和剤80、オキシンドー水和剤80 ○ ○
◎:効果高い、○:効果有り、※:麦類として登録
薬剤散布後に2週間以上根雪にならな かった場合または30mm以上の降雨があっ た場合
根雪前
表3 根雪の目安
地域 根雪間近
平坦部 12月上旬~中旬 山間部 11月下旬~12月上旬
りんご
1 予報の内容
病害虫名
発生 時期
発生量
・ 感染量
予 報 の 根 拠
腐らん病 - 並 (1)本年の巡回調査での発生園地率は、平年並であった。(±)
(2)寒候期予報では、冬期間(12~2月)の気温は、平年並か高い予報。
(±)
野ネズミ - 並 (1)寒候期予報では、冬期間(12~2月)の気温は平年並か高く、降水 量は平年並か多い予報。(±)
記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因
2 防除のポイント
【腐らん病】
(1)多発園では、落葉期に特別散布を実施する。また、散布にあたっては、薬液が枝幹に十分付着するように 丁寧に散布する。
(2)年内から厳冬期の剪定は、剪定痕が枯れ込むことがあり、感染や発病を助長するので避ける。
(3)発生園では、剪定の切り口に殺菌塗布剤を必ず塗布する。
(4)発病や前年の病斑からの再進展は、3月頃から確認されるので、処理済みの病斑、切り口癒傷部、摘果痕 や採果痕などを注意して観察し、早期発見に努める。本病は、発生樹及びその隣接する樹に次年度も発生す る傾向があるので、注意して観察する。
(5)わい性樹の胴腐らんでは、側枝基部の発病が多いので、この部分をよく観察する。
(6)剪除した枝や削り取った病患部は、園地内に残さないよう処分を徹底する。
(7)本病は薬剤だけでの防除は難しく、処置の徹底により伝染源を少なくすることが重要である。できるだけ 地域単位で伝染源量の低減に努める。また、放任園は伐採処分する。
【野ネズミ】
(1)積雪前にできるだけ園内を清耕、清掃し、野ネズミが生息しにくい環境にする。
(2)忌避剤の使用は、根雪前に行う。忌避剤だけでは十分な効果が得られない場合もあるので、殺そ剤による 駆除と併用する。
(3)殺そ剤の晩秋の処理は、積雪前には行うようにする。殺そ剤の駆除の効果を上げるためには、りんご園に 限らず周辺の農地も含めて地域で一斉に処理することが望ましい。
(4)被害に遭いやすい苗木や若木は、被覆により食害を回避する。被覆は、金網や合成樹脂のプロテクターな どにより、樹幹を根雪部より高さ約1mまで行う。
(5)2月以降、樹の周りの雪が早く解けると特に加害されやすくなる。この時期には数回、幹の周りの雪をよ く踏み固めておく。
【ナミハダニ】
(1)主幹、主枝などの粗皮下や下草で越冬する。わい性樹では、粗皮下の他、主幹の固定や枝の誘引に使用し ているマイカ線の下でも集団で越冬する。今年発生が多かった園地では、粗皮削りを丁寧に行うとともに、 マイカ線の下も確認し、集団越冬が確認された場合は交換する。
3 防除上の注意事項
(1)忌避剤、殺そ剤の使用にあたっては、包装等に記載されている内容を良く確認し、農薬の使用基準を遵守 するとともに、使用時や保管時に子供やペット、野鳥などが誤食しないように取り扱いに十分注意すること。